2020プライムデーの広告運用実績から見るAmazonセールの傾向と対策

プライムデーには各社の広告費予算の増加や消費者の購買意欲の高まりにより、CPCとCVR、そしてROASが上昇する傾向にあります。
Amazonプライムデーに売上最大化を狙うためには、キャンペーンごとの広告費予算を増額し、CPCを高く設定し、細かく予算とCPCをチェックすることが重要です。
プライムデーの傾向とノウハウはAmazonの各セールにも通ずるため、今後のAmazonセールにも活かすことができます。
Amazonプライムデーは?
Amazonプライムデーは、Amazonプライム会員(年間3980円)のための年に1度のビッグセールです。
平年では毎年7月に開催されていますが、2020年度は新型コロナウイルスの影響もあり、10月13日・14日の2日間で開催されました。
Amazonプライムデー期間中においては、プライム会員であればAmazon出品商品をよりお得な値段で購入することができる上に、プライム会員限定ポイントアップキャンペーンによって最大10%のポイント還元を受けることができます。
Amazon利用者の購買意欲が一段と高まる日がAmazonプライムデーなので、出品者にとってはAmazon広告をうまく活用することによって自社商品の売上を効果的に伸ばすことができる日でもあります。
過去データから分析するAmazonプライムデーの傾向
プライムデーにおけるAmazon広告の傾向は次の通りです。
①各社の広告費予算の増加により、CPCは上昇する傾向にある
②消費者の購買意欲の高まりにより、CVRは増加する傾向にある
③「CPCの上昇幅 < CVRの上昇幅」となる傾向が高いため、ROASは上昇する傾向にある
※CPC = かかった広告費÷クリック回数
※CVR = 特定のページを経由してコンバージョンに至った人の数 ÷ 特定のページを見た人の数
※ROAS=売上÷コスト×100(%)
①各社の広告費予算の増額により、CPCは上昇する傾向にある
各社がAmazon広告に対して一斉に予算を投下するため、クリック単価であるCPCが高騰する傾向にあります。
具体的には、プライムデー開始直前から徐々にCPCが切り上がっていき、プライムデー当日の2日間でCPCが高騰し、プライムデー終了後はCPCが低下する傾向にあります。
こちらはとあるAmazon広告アカウントの2020年10月のCPC推移ですが、プライムデー当日の10月13日・14日までに徐々にCPCが切り上がっていき、プライムデー当日にはCPCは月間で最高値を記録し、その後徐々にCPCが低下しています。
全てのアカウントがこのようなCPC推移を経るわけではありませんが、プライムデー前後では多くのアカウントでこのようなCPC推移の傾向が見られます。これは各社がプライムデー当日に合わせて広告費予算を増額し、入札単価を引き上げるためです。
②消費者の購買意欲の高まりにより、CVRが上昇する傾向にある
消費者の購買意欲が高まるため、CPCの上昇とともにCVRも上昇する傾向にあります。
特に、プライムデー当日はCVRは急上昇する傾向にあるため、平時よりも広告費に対して商品を効率的に売り上げることができます。
こちらもとあるAmazon広告アカウントの2020年10月のCVR推移ですが、プライムデー当日の10月13日・14日にCVRが急上昇しています。
CPCが上昇するため平時よりも広告費はかかりますが、それ以上に注文数が今まで以上に増加する可能性が高いということです。
③「CPCの上昇幅<CVRの上昇幅」となる傾向があるため、ROASは上昇する傾向にある
①と②より、CPCの上昇幅<CVRの上昇幅、つまり、CPCの上昇幅よりもCVRの上昇幅の方が大きくなる傾向にあるため、広告費の回収率を示す指標であるROAS(広告経由の売上÷広告費用×100(%))は高まる傾向があります。
こちらもとあるAmazon広告アカウントの2020年10月のROAS推移ですが、プライムデー当日の10月13日・14日にROASが上昇しています。
つまり、プライムデーの2日間においては広告費予算を投下すれば投下するほど、平時よりも効率的に売上を上げることができるということがわかります。
Amazonプライムデーに売上を最大化するための広告運用ポイント
プライムデーにおけるAmazon広告の傾向を踏まえると、Amazonプライムデーに売上を最大化するための広告運用ポイントは次の3つです。
①過去の配信で売上の大きいキーワードの入札単価を高めに設定する
②キャンペーンごとの広告費予算を増額する
③深夜早朝帯に予算消化額が大きくなるため、深夜早朝帯を中心に各キャンペーンのCPCや予算をチェックする
①過去の配信で売上の大きいキーワードの入札単価を高めに設定する
プライムデー時には基本的には全てのキャンペーン、全てのキーワードの入札単価を平時よりも高めに設定しておくと良いですが、過去の配信で売上の大きかったキーワードの入札単価は平時よりも特に高めに設定しましょう。各社の広告費予算が増額されてCPCが高騰する可能性が高く、競合に入札単価で打ち負けないようにするためです。
過去一定期間で売上の大きかったキーワードは、管理画面よりダウンロードできる「検索キーワードレポート」より抽出することができます。
検索キーワードレポートをダウンロードするには、アカウント管理画面を開き、「レポート」をクリックします。
次の画面では、「レポートを作成」をクリックします。
レポートダウンロード画面では、スポンサープロダクト広告とスポンサーブランド広告のどちらの広告の検索キーワードレポートをダウンロードするのかを選択します。
どちらの広告の検索キーワードレポートをダウンロードするかを選択し、レポートタイプは「検索ワード」、集計単位は「合計」を選択し、抽出したいデータの期間を選択します。
「レポートを実行」をクリックすると、検索キーワードレポートデータが記載されているエクセルファイルがダウンロードされます。
レポートでは、カスタマーの検索キーワードごとのインプレッション、クリック数、CTR、クリック単価、売上、売上高広告費比率、ROASなどの主要指標を確認することができます。
その中で、「広告がクリックされてから14日間の総売上高」を降順(売上が大きい順)に並べ替えます。
こうした検索キーワードは、カスタマーが広告をクリックして広告費が消化され、売上が発生している検索キーワードです。
過去一定期間において広告経由で売上が一定数発生しているということは、プライムデーもこれらの検索キーワード経由で売上が発生する可能性が高いため、これらの検索キーワードを中心にCPCを高めに設定しておくと良いでしょう
具体的な入札額に関しては、推奨入札額よりもかなり高めに設定するのが望ましいです。
プライムデーには競合が入札単価を上げてくることが予想されるため、入札単価で競合と競り負けないようにするためです。
Amazonから推奨される推奨入札額内でも最大の数値を設定すると良いでしょう。
②キャンペーンごとの広告費予算を増額する
CPCの設定と同時に、キャンペーンごとの広告費予算を増額しておくことを忘れないようにしましょう。
入札単価を引き上げていたとしても、キャンペーンの広告費予算が少ないために広告出稿が停止されてしまっては意味がありません。1日を通してきちんと広告が出稿されるように、平時よりもかなり多めの広告費予算を設定しておきましょう。
予算の目安としては、Amazonから提示される1日あたりの推奨予算を上回る金額で予算設定をしておくのが望ましいでしょう。
もしもキャンペーンの設定予算がAmazonの推奨予算を下回ってしまうと、消費者の購買欲が最も高まる夜間に予算が足りなくなってしまい、広告が表示されないということがあり得ますので、機会損失を防ぐためにもキャンペーンの設定予算は必ず多めに設定しておきましょう。
キャンペーンの広告費予算が足りなかった場合の失敗ケースとして、運用担当者が夜間に睡眠を取っている間に広告費予算が超過してしまい、広告が出稿されなかったというケースがあります。
広告費予算が足りない状況を確実に防ぐために、プライムデー時限定でAmazonの提示する推奨予算の2〜3倍を広告費予算に設定しておいても良いかもしれません。
③深夜早朝帯に予算消化額が大きくなるため、深夜早朝帯を中心に各キャンペーンのCPCや予算をチェックする
消費者の購買意欲は深夜早朝帯にピークに達するため、CPCや予算のチェックは深夜早朝帯を中心に実施しましょう。
2020年のようにプライムデーが平日開催される場合は、特に深夜早朝帯の予算消化額が大きくなります。
プライムデー開催中の夜間は分単位でAmazonの提示する推奨入札額や推奨予算が変化します。30分後には推奨予算や推奨入札額が想定よりも大きく高騰していたというケースもあります。
設定予算がAmazonの提示する推奨予算を下回ることがないように、あるいは、計画よりも多くの広告費が消化されてしまうことがないように、プライムデー当日の夕方18時〜24時までの間は30分感覚を目安に各キャンペーンのCPCと予算をチェックすることが望ましいです。
●プライムデーは、Amazonプライム会員(年間3980円)のための年に1度のビッグセールであり、消費者の購買意欲が高まる2日間である
●プライムデーは、各社の広告費予算の増加や消費者の購買意欲の高まりにより、CPCとCVR、そしてROASが上昇する傾向にある。
●Amazonプライムデーに売上を最大化するための広告運用ポイントは次の3つ
①過去の配信で売上の大きいキーワードの入札単価を高めに設定する
②キャンペーンごとの広告費予算を増額する
③深夜早朝帯に予算消化額が大きくなるため、深夜早朝帯を中心に各キャンペーンのCPCや予算をチェックする